わわわ。
昨日、所用でイオン新潟南店に行った時、普段決して入ることのないアクセサリーショップで凄いものを発見してしまった。 「Les Aventures de Télémaque」de François Fénélon. フェネロンの「テレマコスの冒険」アシェット出版の古本。 一瞬、Cicéron (キケロー)かと思い、思わず本をめくってしまったら・・・ ざざざざ~っ とディスプレイされていたネックレスが滝のように流れ落ちました(当たり前)。 あわあわと元に戻し、取り敢えず写真をとる。 挙動不審のまま
「この本を買い取ることはできますか?」
と尋ねてみようか、でも
「ディスプレイですので・・・」と一蹴され、「アクセショップでジュエリーを見るんじゃなくて、そっちかよ!」
というつっこみを隠して気の毒そうにまつげをしばたかれたりするのだろうな、などと徘徊しながら想像して、ため息を残して店を後にした。 知らない人が見れば、とても欲しいアクセサリーを何らかの事情であきらめて出て来た人だと思うだろう。
この本の価値ってなんなんだろ・・・わたしたちも、こうやって思いもよらぬ場所で思いもよらぬ価値を見出され、本来の「自分」とはかけ離れたところでひっそりと佇むことがあるかもしれない。 そもそも、自分が本当だと思い込んでいるジブンなんて、何もかも幻想なのかもしれない。
テレマコスは「オデュッセイア」の主人公ユリシーズ(オデュッセウス)の息子で、おやじさんを探して旅に出る、その冒険のお話が17世紀のフランス人作家フェネロンの「テレマコスの冒険」。マリヴォーがパロディーを書いたらしい・・・読みたい。懐かしいな、マリヴォーの皮肉とアルルカンのキュートさ。今見ると腰が引ける分厚さの「マリヴォー戯曲全集」。こんなのよく持ち歩いてたな・・・。「La Double Inconstance」が一番好きな話だった。
当時の殴り書きメモや提出課題なんかを見ると、本当にこれを書いたのは自分なのか、自信がなくなってくる。ナント大学に行っていたのはわたしではなくて別の誰かさんだったのかもしれないと、たまに真剣に思う。三年で人間を構成する全ての細胞は一新するらしいし。今となっては、このブログがあるから、かろうじてそんなこともやっていたと言えるのです。 あのころのわし→「シモネタエクスポゼ」 最近、「あのころ」の話ばかりしているような・・・思い当たる理由は、あるっちゃあるんですが。