おかあさんのはなし

惚気ます。

入籍してしばらく事情により週末婚状態だったが、同居を始めて(というより、私が家に入って)2ヶ月になろうとする。その間にたまったおかあさん(夫君の)のはなし。

昨日の夜、店から帰る時(彼女はお店を持っている)に道一杯にサラリーマンが5、6人酔いどれ気分で歩いていた。姑はその後ろから自転車で「ちょっとすみません」と通して貰おうとしたら、そのうちの一人が「ほらほら、よけて」と牧羊犬よろしく、他のメンバーにうながして母を通そうとしてくれた。それで、姑は「ありがとうございます」と通りかけたら、こともあろうにその牧羊サラリーマンが姑に向かって「くそババア」と言った。 姑はあまりの急転直下にめまいがしたそうだ。

「よっぽどその場でバターンと倒れてやろうかと思ったけど、地元の人間じゃなさそうだし、やめといたんだけどさ。」

笑いながら帰ってきた姑は、「ババアはババアだけど、くそはひどい」と何度か言っていた。 彼女は、工事に来てくれた人や、大変そうな人に、ちょっとした差し入れをよくする。大概、バナナとかお菓子とかを「ほい、おやつ」と渡す。この間は、神社のお祭り「おとりさま」で寒い中交通整理をしているお巡りさんに通りすがりにホッカイロを投げて渡した。お巡りさんは、不振な顔つきをしていたと、くすくす笑いながら報告してくれた。

ところで、新潟市の某ホテルに入っているジュエリーショップと縁があって、そこで結婚指輪を作ったのだが、その際にホテルのキャンペーンに応募するとディナーショーやらおせちやらボトルキープ券やらが当たるという応募用紙を大量に貰った(金額に合わせて応募用紙をくれると思うのだが、お店のおばさんは面倒だったのか豪快に束でくれた)。それで、私と夫君でせっせと家族みんなの名前を代わる代わる書いて応募したのだが、姑の名前で応募したもので、ペアのスイート宿泊(ディナー付き)が当たった。すると、彼女はホテルに電話をして、当選のお知らせが届いたこと、当てて下さったことへの感謝を述べたそうだ。 そんなひとに育てられた兄弟たちもなかなか面白い。

まだ夫君たち兄弟が小さかった頃、みんなでおばあちゃんの家に遊びに行った(市内なのでそう遠くない)。苺のおいしい季節で、おばあちゃんの家で、苺を食べようとお皿に盛り、取り敢えずそこにあった砂糖をかけて子ども達に出したところ、ひと口食べた夫君のお兄さんは、もそもそとこう言った。

「おれ、イチゴはあまい方が好きかな・・・」

姑がたっぷりかけたのは塩だった。 ちなみに、夫君は小学生低学年の頃、風邪をこじらせて小児科に行かなくてはならなくなった時に、

「この歳になって親に付き添われて病院に行くなんて」

と嘆き、周囲をのけぞらせたらしい。

(彼は小学生の頃、夏休みの宿題で観察日記用に朝顔を育てた。「植物は話しかけるとよく育つ」と聞いて、毎日話しかけるようにした。新学期が始まって、学校に朝顔を持って行ったら、彼の朝顔だけそれはもうびっくりする程大きくなっていたという。)

結婚前に、夫君は

「腹が立つことがあっても、寝ると忘れる」

と言っていて、はぁ、こういう奇特な人もこの地球には存在するのだなと感心したのだけれど、生活してみると、この母にしてこの子ありなのだな、とよく思う。そして、多分、「この義母にしてこの嫁あり」もあって、最近、わたしは腹を立てることがすっかりなくなって、ふやふや笑っていることが多い。 iPhone 4Sに変えたら、通話が2回に1回成立せず(全く音がしなくて、表示も「接続中」となるのだが、相手にはかかっているので無言電話になってしまう)、auショップ、auのiPhone顧客サポート(ここの対応はひどかった!)、Appleサポートとたらい回しの目にあって、姑が

「それは換えてもらいなさい!」

と先にしびれを切らすくらいなのです。ふやふや。