そもそもの話

  このブログを記していく上で、「こころ」というものにもっと丁寧に向き合おうと思うようになったひとつのキーワードがある。それが、「Vis comica(ヴィス・コミカ)」 Vis comicaとはラテン語で、直訳すると「喜劇の力」。 わたしはこれを「笑いの力」と訳します。 わたしがこの言葉に反応したのには、まったく縁のないように見える二つのきっかけがある。   ひとつは、今わたしが学んでいる仏文。フランス文学は、やってみるまで美しく気取ったイメージしかなかったんだけれど、実際に生でぶつかってみると、こんなに「笑い」に知性を費やし、くだらないことに情熱をかけている、素晴らしいものだとわかった。 それを、祖先の古代ローマの人はすでに「笑いの力」として知っていた。 もうひとつは、落語。 落語を聴き始めて2ヶ月になる。知れば知るほど、なんだかよくわからない深みにはまるようだけれど、それでもいいんじゃないかとだらだら思う。 普段わたしたちは人を笑わせ、人と笑い合う力を持っている。 それは人の心を温め、動かす大きなエネルギー。 人生には、ちょっとがんばらないといけない場面がたくさんあります。 思うとおりに行かなかったり 誤解されたり 傷つけてしまったり 悲しい思いをしたり こんがらがってしまったり 離れてしまったり そんな時、落語の持つ「笑いの力」に助けられた。 笑う時、人には明かりが灯るような気がする。 小さくても、ぽうっと明かりがつけば、自分の周りに誰かがいるということがわかる。それは、繋がりを見つけるということ。 自分がどこにいるのか見失ってしまった時、 自分の明かりを頼りに出来ればいい。 そしてそれが、誰かの道しるべになったらいい。 わたしが、誰かの明かりに助けられるように。