ホリエモンのgo to jail Tシャツを新聞で見かけた夜、殺人罪でジワジワと追いつめられる夢を見てしまった。こういう場合はどこに文句を言ったらいいのだろう。Ah si j'étais Français !!! (念のために、「si j'étais Française」 に非ず) フランス人(男)だったら良かったのに!(大声) ・・・と、この仕事を始めてから何度思ったかしれないが、だいたいそう思う時が何時なのかがわかった。 リスニングの課題を作っている時。適当な素材はそう簡単に見つかるものではなく、だったら自分で作った方が早いのだが、やはりどうせならネイティヴが話しているのを聞いて欲しいと思う。 こういう時ネイティブのパートナーがいればいいのかもしれないけれど、きっと鈴木先生ばりの私の熱血演技指導が細かすぎてうんざりされ、結局二度と引き受けて貰えなくなったりしそうなので、やっぱり自分がフランス人である方が便利に違いない。なぜ男なのかというと、日本人のフランス語学習者はまだ女性率が高いので、男である方が顧客が増えそうだという、純粋に邪な理由からです。 ヨコシマといえば、昔、日本語を教えていたフランス人(男)が愛すべきアホなやつで、血迷って日本に行きたいなどと言い出したので 「日本語もまともに話せないのにどうやって仕事探すの?」と聞くと 「ガールフレンドを作ってヒモになる」などとけしからんことを言う。 「そんな簡単にはひっかからないよ(だいたい目の前の日本人さえひっかけられないではないか)。」 「いやいや、今トウキョウに行ってる奴がいて、そいつ情報だと結構ちょろいらしいんだ。」 そこで彼が次の台詞を言わなかったら、間違いなく「大和撫子をなめんな」とグーでぶっていたと思うのだが、私の額に青筋が入っているのを知ってか知らぬまま天然でか、 「C'est facile, je porte un T-shurt et là-dessus j'écris " I'm a Master of the French Kiss" 」 (簡単だよ、「僕はフレンチ・キスの師匠です」って書いたTシャツを着て歩くんだ」) と、いわゆる「どや顔」で言ってのけた。その瞬間に全ての力がへなへなと抜けた私は、 「Hélas, comme je suis 36 milles fois mieux et plus sérieuse que lui, j'aurais été mieux que lui pour être faite Française !!!」 「ああ神様、わたしはこいつより3万6千倍(フランス語ではなぜか「いっぱい」のことを「36000」という)いいやつでまじめです。こんなやつでさえフランス人であるのなら、いっそわたしをフランス人にしてくれたっていいだろうに」と思わず天を仰いだのだった。 (断っておくが、私はフランス人至上主義なわけではない。) そんなエピソード含め、冒頭の一言を生まれて初めてツィートしたいと思った。ツィッターやってないけれど。 タイトルの Et si on gazouillait un peu ?の「si(1)」 と、わたしの心の叫び Ah si j'étais Français !!!の「si(2)」 はちょっと役割が違う。同じように後ろにimparfaitの形が来るけれど、 (1) は「~しようか」「よかったら~しない?」という勧誘。「ちょっとつぶやいてみよっか?」 (2) は願望を表す「もし」の使い方。「フランス人だったらなぁ!」 (1)の表現を使って誰かを誘えるようになったら、立派なフランス語話者と言えるのだ。