シネマ・フランセ、第1回はエリック・ロメール監督
Pauline à la plage
(海辺のポーリーヌ)
フランス人って・・・。
Cours No.3と4はシネマを使った授業。本日は生徒さん3人とこじんまりしつつ、フランス映画を見ながら「フランス人気質」というものに触れてみる授業です。
§ 15歳のポーリーヌと年上の従姉マリオンはモン・サンミッシェルに程近い海辺の小さな町、ジュールヴィルにヴァカンスの最後を過ごしにやってきます。離婚して間もないマリオン、海辺でたまたま昔のボーイフレンドだったピエールと再会。そこに、ピエールと「知り合い」と言うアンリが現れ、マリオンは自らが宣言していた通り、「一瞬で燃え上がる熱い恋」に落ちてしまいます。ピエールはマリオンが忘れられず、アンリのプレイボーイっぷりを指摘しマリオンに忠告するものの、言えば言うほど墓穴を掘るばかり。一方、ポーリーヌは浜辺でシルヴァンと出会い、ちょっといい雰囲気。ところが、アンリの浮気が引き金となり、登場人物全員を巻き込む大嵐に。マリオン、ピエール、シルヴァン、そしてポーリーヌ、それぞれの思惑がぶつかり合い、糸はどんどん縺れてしまい・・・一体、「真実」を語っているのは、誰?
「海辺のポーリーヌ」はロメール監督の2つ目のシリーズ「Comédies et proverbes(人間劇と格言)」の3番目にあたる作品で、1983年にベルリン国際映画祭で監督部門銀熊賞を受賞しています。シリーズ中の6つの作品はそれぞれにひとつの格言(proverbe,un)をテーマに取り上げて、それに沿った人間模様が繰り広げられます。
この「ポーリーヌ」には、
"Qui trop paroles, il se mesfait."
というのが掲げられているのですが、これはかの有名な荷馬車騎士〔このバカバカしい話の概要をお知りになりたい方はこちら→(Click!)〕を書いたクレティエン・ド・トロワという12世紀の作家からの引用。この古フランス語、現代フランス語に訳すと
Qui parle trop se fourvoie. となり、
「べらべらと喋るやつは道を誤る」という意味になります。
(DVDの付属解説には「言葉多きものは災いの元」となっていますが、原語では「喋りすぎて自ら墓穴を掘る」というニュアンスがあるため、厳密な意味では誤訳のような気がしますが・・・)
こちらは生徒の皆さん。「べらべらと喋る」とは程遠く、集中して話の筋を追っています。
自由奔放、つっこみどころ満載なフランス人の恋愛模様、やっぱり目が離せませんでしょうか。
前半は「喋りすぎた男」として道を誤りまくる役を押し付けられた哀れなピエールくん。果たして彼の運命は?!
・・・といったところで、お時間でした。
「続きが気になるー」
この作品に限らず、エリック・ロメールという監督はとにかく登場人物に「語らせる」ことでストーリーを紡いで行く手法を使います。そういう意味では、この「Qui trop paroles...」の引用はちょっと皮肉。
しかし、15歳とは思えないポーリーヌ。心も身体も発育順調で、よく観察をし、曇りのない直感で登場人物の中では一番大人なのでは。
今日は最後まで行きませんでしたが、アンリが別れ際にポーリーヌに与える「男と女」な助言、ううん・・・とうなってしまいます。そういうもんですかねぇ・・・
これについてはぜひ、皆さんの意見を聞きたい!
そしてラストシーンのポーリーヌの笑顔がさわやか。なんとも言えない味があって、わたしはとっても好きです。
(--JOUP* :ちょっとパロンテーズ--)
今回使ったDVDは今一般に出回っているものなのですが、一部の訳が単純なヒアリングミスから来る誤訳だったりしてちょっと驚きました。誰もチェックいれなかったんだろか・・・。
(--JFLP** : パロンテーズおわり--)
それにしても、今日は3人でちょっと寂しかったです。
e-cor フランス語コミュニケーション教室 初心者クラス(土曜朝10時~11時30分)では、生徒さんまだまだ募集中です。教室の詳細→(Click !)
途中から入るのはチョット・・・と思っていらっしゃる方、ご心配御無用です。
その理由は・・・また明日。(今日は引っ張りっぱなし)
Bonne nuit !(おやすみなさい)
_________________________
*J'ouvre une parenthèse : ジューヴる ユヌ パろンテーズ 「かっこ開きます」という意味。話がちょっとそれるけど、という余談開始時に使います。
**Je ferme la parenthèse : ジュ フェるム ラ パろンテーズ 「かっこ閉じます」。このセット表現、大学の先生からコメンテーターまでさまざまなシーンで耳にします。